誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケアの技術伝承 ─ ポジショニングで食べる喜びを伝えるPOTTプログラム ─

研修会のご案内

POTT研修会

初級(2時間)コース

少人数で、基礎から体験的な演習を含めて実施します。受講者のニーズによりベッド上及び車いすポジショニングの時間調整をします。
研修会の形式は、コアメンバーを中心にした研修会の後、ミニ研修会を何度かに分けて実施するのも効果的です。病棟別、職種別、患者別など種々の取り組み方があります。

進行 1グループ3~4人+指導者(POTTリーダー)

  1. 準備物品 ベッド用、車いすをグループ数 クッション、食材。食具、テーブル等
  2. 資料 講義用資料 スキルチェック表 
  3. グループ編成 1グループ3~4名+指導者(リーダー研修修了者)
  4. 研修会の実際⇒
    講義30分+デモ15分+演習60分+振り返り15分
    講義;ポジショニングの基礎知識等
    デモ(又は動画):スキルチェックに沿って技術と根拠を示しながら説明
    演習;ケア役、患者役、補助者役に分かれ体験学習。いつものリクライニング
    30度~POTT30度、60度、車いすポジショニング等を演習

*研修会ご希望の方は、ホームページの「お問い合わせ」から申し込み下さい。
 本部から、各ブロック又は県リーダーへつなぎます。

リーダー研修

リーダー研修

全国各ブロック又は県単位で、リーダー育成研修を開催します。リーダーは、全国ブロック及び県単位に構成し、初級研修等を修了した人、または施設や地域でPOTTプログラムの指導教育に当たる人を対象として、技術力、指導力の向上を目指します。スキルチェックは別途研修用に使用したプログラムを使用し基本的技術の向上を図ります。また、“教えるコツ、学ぶコツ”を意識した理論と実践編とします。これまで技術伝承と定着が成功した施設の活動も学びあいます。

*研修希望は、初級コースと同様にホームページからお申し込み下さい。

スキル伝承から定着へ

POTTプログラムの技術伝承では、研修会直後のスキル点数は向上しますが、2週間、3か月と時間的経過と共に、点数は元に戻る傾向があります。その原因は、全員が技術教育を受ける余裕がない、交代制勤務や多忙などの環境もあります。そして看護技術は、自分の身体を使った身体記憶であり、容易に変容できない可能性もあります。
看護技術が定着するには、3年かかるともいわれています。食事時のポジショニング技術は、伝承と合わせて定着化を図る早急な取り組みが求められています。
その対応策として、3年間でのプロジェクト活動を開始することにしました。定着化に関しては、POTTプロジェクトのロジックツリーを使い、各々の施設や地域、学校などで、何から活動するかをリーダーとスタッフが共に考え行動につながるよう提案します。

スキル伝承から定着へ

スキル伝承から定着へ  スキル伝承から定着へ

POTTプロジェクトは、3年計画でより多くの人への技術伝承を計画しています。看護や介護のイノベーションとして、ポジショニングスキルの技術伝承に取り組まれることを期待しています。ポジショニングは、ケアリング関係で成立します。多くの人達と「食べるよろこびを伝える」ことを、語り合いたいと願っています。

POTT研修会開催 3年後調査の一部を紹介します。
回答者は摂食・嚥下障害看護認定看護師。

A病院(総合病院)

1年間かけて全職員にポジショニング技術伝承ができ、その後入院患者の食事姿勢改善が達成できました。

1)技術伝承方法

とにかく全看護職員へ向けてと思い、体験を主にしながら行った。全職員への体験研修を行うために、指導者を増やすため「食べるを助ける」部会リンクナース(10名)に指導者となれるように研修を行った。その後は、リンクナースが指導者となり、各病棟で数日間に分けて全看護職員が研修を受けるように実施した。

2)研修会形式

看護師

①事前に資料を配付し、学習をしてもらっておく。時間外に数日に分けて体験・実習に重きをおいて、1回60分前後をかけて勉強会を行った。各部署、1ヶ月を目標に実施。3ヶ月程度で全部署が勉強会を終了した。

②毎年新人研修の中で集合研修を行う。OJTで1ヶ月後に部署のリンクナースか、 新人教育担当者や実地指導者が確認を行うことにしている。 

3)技術伝承について、順調にすすみましたか⇒はい

理由⇒ 研修会には看護部長をはじめ、各部署の師長にも参加をお願いし、ポジショニングの大切さを体感してもらい、自部署で進めていく時に協力・支援をもらうことができた。
協力者(チーム) ⇒ 看護部会、「食べるを助ける」チーム

B病院(精神科病院)

1)POTT伝承は、計画的に実施しましたか⇒はい

具体的計画⇒看護部の研修会、NSTリンクナース、病棟で研修会は毎年実施「できるようになった。 
協力者(チーム)⇒看護部(病棟) NST(栄養サポートチーム)

2)技術伝承について、順調にすすみましたか⇒どちらとも言えない

理由⇒病棟編成(救急病棟に新たに変更した病棟に中途入職や新入職者が急に増員となった。またこれまでケアや看護に対して協力的な中堅看護師の退職や離職もあった。)
看護部はポジショニングの大切さを理解している。新人研修や病棟編成があった時や発熱が多いなどの時には個別に病棟毎に研修依頼があるようになった。
ポジショニングの重要性ややるべきケアとしての必要性は理解していただけるようになっている。

3)特に工夫したことや成果

看護師
  • 病棟での勉強会は、その病棟の特徴を活かした研修会を実施。
    介助が多い時は食事介助方法からポジショニングを指導。②精神状態が著しく入院時から身体拘束が必要なときのポジショニングの注意事項など指導するなど。
  • 病棟コアナースへの伝承を目的とした研修会で研修計画から準備などコアナースが担当、自信をもって指導できるように工夫した。
  • 看護、ケアを評価を現場レベルで実施するために、主任の参加しやすい病棟研修会を実施。
  • 医師や薬剤師、作業療法士など多職種が参加しやすいため、病棟勉強会時は多職種に声かけを行った。(医師の参加後のポジショニングの感想はスタッフへの影響が大きかった。)
成果
  1. 毎年、看護部の研修会に組み入れていただいたことは大きな成果だと思う。
  2. 研修会後の新人に現場で再度実践したり指導することで病棟スタッへの伝承につながっている。
  3. 不良姿勢を病棟ラウンド時見つけると共に直そうと積極的に関わるようになった。発熱、むせなど誤嚥を不良姿勢と認識して見直すようになった。
患者の病状や食事の変化
  • 寝ていて息が苦しくない」「よく眠れるようになった」「飲み込みやすい」など患者自身からポジショニングを整えると発言されるようになった。
  • 食事形態がアップの患者が増えてきた。
  • 回復状態に合わせて、ベッド介助から車いす、椅子へと移行する患者も増えてきた。
意見や感想

認知症、うつ病の増加により精神科疾患が5大疾患に加えられたのに関わらず、まだまだケアの基本であるポジショニングに対する認識は薄いと感じている。薬剤には興味を示すが、その副作用による誤嚥をケアや看護するといった視点での研修会を行うことも重要と考えている。精神科での取り組みと成果をアピールできるように成果を可視化していきたい。

C病院(一般病棟、医療療養型病棟、緩和ケア病棟)

研修形式
看護師

当初は、CNが参加者2~3名対象に30分程度で講義
、 演習を行った。一般病棟、医療療養型病棟、緩和ケア病棟で計30回以上行った。翌年POTTチームを結成し、自部署での年2回の研修を企画、3年間継続している。内容は、ベッド上、車椅子のポジショニングの講義と演習。方法は、CNが中心となり実施。病棟での勉強会はPOTTメンバーが中心となり実施、定着できた。

工夫したことや成果

①クッション作成。POTT用クッションをセットにしてすぐに使用できるようにしている。
②POTTチームが発足した

患者の変化

ベッド上で摂取している方の身体のずれがあまり見られなくなった。

意見や感想

全く実践できていないわけではないが、100%実践できているとも言えないのが事実である。摂食時のポジショニングの重要性について、参加者は研修会を通して理解できたという反応であるが、そこから実践へつなげる行動変容が難しい。指導的な関わりではなく、まずは自分が実践し一緒に実践していくというスタイルととっているが、それが正しいかどうかは分からない。継続という点では、チームを発足したので年間計画に沿って勉強会を開催する。

以上

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