誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケアの技術伝承 ─ ポジショニングで食べる喜びを伝えるPOTTプログラム ─

活動・研修会

活動紹介

誤嚥を予防する食事時のポジショニング技術を多くの人に伝える活動をしています。対象は、看護職、介護職、学生、在宅介護者等です。また研修会は、ポジショニング技術評価等の研究活動も併せて行っています。主な活動は、以下です。

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  1. POTTプログラムによる研修会開催
  2. 食事時のポジショニングや介助技術教育に関する相談
  3. 研修会への講師派遣
  4. ポジショニングの効果及び影響評価に関する調査研究
  5. その他

POTT研修会報告

POTT研修会は、平成26年3月から広島県、島根県、宮城県、岩手県の病院で実施しました。27年度は、摂食・嚥下障害看護認定看護師教育課程のフォーロアップ研修会等で実施し、現在も継続中です。研修会での体験学習は、毎回参加者の方々が新たな発見をされています。それは包括的教育、技術伝承の強みであり、臨床知につながるとの予感がします。

今後実施する研修会の様子は、「新着情報」覧で紹介します。

資料

臨床的な技術の深化の様相

技術の基礎→
触れる/
流れをつかむ/
感じる/
心が動/く
技術の探求→
考える/
テクニックの発見/
試す/
理解する/
問う/
ひたる/
技術の創造→
創造する(アート発見)/
修練する(身体感覚の浄清)/
至福の体験/

引用 藤岡完治(2001):学生と共に創る臨床実習指導ワークブック代2版

POTT研修会が、技術の基礎から技術の創造まで深化し、ポジショニングを必要としている方々と共に至福の体験ができれば最高です。ポジショニングは、看護者としての自分の身体が意識化され、「看護の問い」が生れるようです。深化の層は、直線的ではなく学生でも新人でも“至福の体験”が生れることがあります。

以下は、これまでにいただいた参加者の感想やご意見です(抜粋)。

参加者の方々のコメントからは、上記に紹介した“臨床的な技術の深化の様相”が示されており、次のステップが何かと思うと、期待が高まります。

30度、60度を体験し、患者さんの食べづらさを実感した。何で体がずれるかを考えていくと、患者様が苦痛で動かれるのには理由があり、ちょっとした背抜きや足抜きで変わってくることを実感した。学んだことを、明日からしっかりと実践し、活かしていきたい
HCU所属なので、脳血管障害で麻痺のある方や、心不全や呼吸苦がある方、さまざまな方がおられる。体位を整え方次第で、かなり楽になることが分かった。患者さんがよくベッドからずれていることがあります。ずれの原因は患者さんではなく、自分たちの技術の未熟さにあることがわかった。自分の技術を振り返り、(今日はこれから深夜勤務なので)明日の朝からさっそく、患者様に実践していきたい
脳神経外科・神経内科病棟に所属しており、麻痺や緊張、半側空間無視のある方が多くおられる。これまで、むせの有無や、食事量にばかり目が向いていたが、ポジショニングに目が向くことは少なかった。ポジショニングで、誤嚥予防や、食事量の増加、食事摂取時間の短縮にもつながることがわかったので、自分の技術として身につけ、活かしていきたいと思った
背抜き・足抜き・足のギャジUPが少ないことで、苦痛が生じることを実感した。患者さんは、苦痛でお尻を動かしていることが、体験してみてわかった。これまで行っていたポジショニングが苦痛で、食事摂取量が少なくなっていたのかなとも感じた

まず、いつものポジショニング ⇒何が起こっているのか!不良姿勢の原因は?

ポジショニングイメージ

患者さんがずれるのは、患者さん側に原因があると感じ、何でずれるのかを患者さんのせいにしていた部分があったように思う。膝の下に三角枕を入れることをよくしていたが、体験してみると苦痛を感じた。背抜き・足抜きをするだけで、ずいぶんと安楽になることを感じた。足底がきちんと設置し、肘(上肢)が安定していれば、体全体が安定し、筋肉の緊張や負担も少なく感じた。自分たちのポジショニングを見直し、明日から取り組んでいきたい
机上の勉強だけで分かったつもりでいたポジショニングも、実際に体験することで、患者さんのどこに負担や苦痛があるのか、嚥下にどのように影響があるのか、理解することができ、本当に知識・技術として深まったように思う
患者さんの不穏な行動には、苦痛などちゃんと理由があることがわかり、これからは患者さんをしっかりとアセスメントして、ポジショニングを実施していきたいと思う
ポジショニングをきちんと行うことで、患者さんのためにもなるし、看護師の業務改善にもつながるように思う
ポジショニングに必要性は感じていたが、これまでは体を整えればよいとしか思っていなかったような気がする。体験しながら、ポイントを教えてもらったことで、不良姿勢が及ぼす悪影響や苦痛がよくわかった。ポジショニングの必要性を理解することができ、ここだけで終わらず、これからも頑張っていきたいと思う
今後、患者様に確実な技術を届けるために、チェックリストの20点を目指して、ゴールを高くし、病棟の中で他の看護師へ広げていく
病棟において、本日参加されたNSの方がコアとなって、広めていただきたい
選ばれた6名なので他のスタッフに伝えていってほしい。食事に対する思いが伝わってきた。高齢化で介助や胃廔の患者が増え、急性期病棟では口腔ケアを一生懸命しても誤嚥性肺炎を繰り返し上手くいかない事もある。療養型では急性期病棟のケアを継続していく必要がある。医師は食べられなくなるとすぐ点滴や胃廔の話になるが、まずやるべき事をやる必要がある。まずは患者さん自身、食事がおいしいと思うことが大事。POTTは褥創予防にもなる。褥創予防のポジショニングは広く伝わっているが食事のポジショニングは全然出来ていなかった。タオルの使い方が良かった。手当てがとても良い。研究の途中経過や他院の様子が知りたい。(病棟師長)
患者に対して気をつけていたつもりだったが、体験したらずれさせていた。患者体験をしてみて、ギャッチアップ時の圧迫感を感じ、背抜き・足抜きの大切さを実感した、・背抜き・足抜きを実践できていなかった、学んだことを病棟に伝えていきたい。背抜きはしていたがクッションは使用していなかった、患者の食事が進まなかったのはポジショニングが不良だったためかもしれないと思った
誤嚥性肺炎の多い病棟であるため、今回の患者体験を病棟で生かしていきたい。食事介助でクッションが大事と言われていたが、どう使うか方法がわからなかったので、病棟で使用していきたいと思う。患者はしんどいと言われないので、今回の患者体験を通して実践で生かしていきたい。患者に対し、短時間でも安楽な姿勢を提供していきたいと思った

足底接地  バスタオル&POTTシート  足底フリーは不安定

足底接地イメージ

ギャッチアップした後の背抜きは日頃できていたが、体位を戻した後にもう一度背拭きをするということが今まで出来ていなかった。患者さんはその後、しばらくその姿勢でおられることになるので、その後の苦痛までに目が向けられていなかったことに気付いた
体幹の両脇に置いた枕は、これまで麻痺があって傾いている患者にのみ、傾く側に使っていた。しかし両側に使うことで安定感につながることがわかった

両手を枕でサポートし、足から上げる…

両手を枕でサポートイメージ

背抜き  足抜き  TE-ARTE  手を優しく当てながら圧を抜く  顎胸間隔4横指…

背抜き 足抜きイメージ

全体姿勢を観察  くずれや傾き、呼吸状態、胸や腹部の圧迫など

全体姿勢観察イメージ

整形外科病棟に勤務しているが、高齢者が多く、牽引患者も多く、誤嚥のリスクが高い方が多い。牽引中のポジショニングや誤嚥のリスクが高い患者への具体的なアドバイスをもらい、誤嚥のリスクを軽減し、安楽な姿勢を提供できるポジショニングを必ずスタッフに広めたいと思った
実際に体験してみて、患者の苦痛がよくわかった。背抜き・足抜きをしてもらうだけで、リラックスできたし、バスタオル1枚で足のずれがなくなったり、頸部の位置が楽になり、安定感が図れた。すごくいい援助をしてもらっていると思った。気持ちの良い援助ができるように丁寧に行っていきたい
今まで当たり前に膝下に枕を入れ、挙上していたが、体験してみて患者の負担になっていたことがわかった。明日から絶対にやらない

研修会後の活動 T認定看護師からのメール

看護副部長、リンクナースのリーダー数名で、「看護実践能力を強化する」ために、各委員会のリンクナースは何をおこなっていこうとしているかを話し合いました。その話し合いの中で…「ポジィショニング」がキーワードとなり、看護師全員に研修会を行うことになりました。まずは、指導できる人・キーになってくれる人を増やそうと言うことになりました。POTTプログラムを受けた嚥下のリンクナースが、他の委員会のリンクナースに研修を行い、その人と一緒に次のリンクナースに研修を行い…研修を受けたリンクナースがペアになり、スタッフに研修を行うというスタイルで進めていきたいと思います。

6月中に、指導者となる人への研修会を行い、7月からはスタッフへの研修会を開始します。なんて、すごい病院なんでしょう。私が、遅れをとらないように、がんばります。

→現在院内全看護師がポジショニング研修に参加し、患者さんへのポジショニングを実践されています。

看護部長さんは、病棟ラウンド時にみる患者さんの姿勢は、以前に比べて随分と楽そうになったと話されていました。

目からうろこでした。ベッド起こして普通に「食べなさい」と言っていたように思います。患者さんには苦痛だったと思います。バスタオル、タオル、枕などいつもある用品を使ってできるも素晴らしいとおもった
既に一度講習を受けている人が、病棟に広め初めているので、自分も広めたい
今まで食べれる患者さんの食べられる量を減らしていた。オーバーテーブルが肘の高さだと、とても食べやすいかった
今日、参加したスタッフは中堅なので看護師経験の異なる看護師達にも一緒に教えあいたい
もっと早く習っていたらと思う。ついこの間まで終末期の患者さんがいましたので、もっと楽に過ごせたのではと思う。一人でも多くのスタッフに伝達していきたい
隔離室での患者さんにできたらいいと思います。朝、出勤するとベッドがフラットになっている患者さんを見受けるので、伝達講習をしていきたい
実際に体験することで、必要さを実感することができました。思っている角度と実際の角度の差に驚きました。ポジショニングを行うと行わないとでは全く違うことがわかり目からうろこでした。今までどんなに患者さんに苦痛を与えていたかわかり、恥ずかしいとおもいました。有意義な研修会になりました。必ず伝達するべきだと思いました
患者体験で「しんどさ」を実感した。今まで、誤嚥しないように、という思いだけでやっていたが、ポジショニングによって嚥下の難しさがあることが分かった
実際に食べさせてもらって、手を添えてもらうだけでも違いを感じた。手を添えることが重要だと思った
食事の準備の為にギャッジアップを行った後、患者に「大丈夫ですか?」と聞くと、「大丈夫です」と返事が返ってきていたが、本当は大丈夫ではなかったことが分かった
院内の中で勉強することで、患者のためになるケアする仲間が増えた。足底の安定させることが大切だと気付いた。バスタオルと枕を使うことでこんなに違いがあることが分かった
患者体験をして、とても勉強になり身になった。食べることは生きることに直結しているのでほんの少しのことで安楽になるので、やらないともったいない。患者の命に関わることだと感じた
病棟科長・主任の参加があり、これからPOTTを広めていくには、心強い存在となると思う。スタッフと一緒になり実践ができると思う。また、姿勢のチェックしてもらえる存在になるのではないか
いつもの方法では背中、足、腰に圧がかかり、ギャッチアップでの「ずれ」を感じた。POTTの方法ではずれなかった。除圧してもらうと楽になった。今まで背抜きはしていたが足は気にしていなかった。足を固定すると安心感があった。POTTの方法で食べれば食事の時間が楽しくなると思った。(2年目)
とにかく隙間を埋めた方がいいと思い、クッションを沢山使っていたが、何個かのクッションと背抜き足抜きだけでも気持ちよく座れる事がわかった。バスタオルで足底を安定させる方法を初めて知った。(5年目)
車椅子では足を床に着ける事を意識していたが、ベッド上では意識がなかった。みんなにも体験してもらいスタッフ一同で出来るようになってほしい。

患者体験は学びの宝庫!

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