摂食嚥下障害のある人の援助
摂食嚥下障害のある人の援助は、たくさんのケアの積み重ねです(図1)。図の下段は、人の回復過程を示しています。例えば脳卒中では、急性期の治療から徐々に回復過程をたどります。食事は非経口摂取から徐々に経口摂取に向かいます。逆に認知症や神経難病などでは、病状は少しずつ進行して経口摂取から非経口摂取に向かっていきます。
基本的なケアは、急性期では命をつなぐ呼吸管理と共に、ポジショニング、口腔ケア、摂食嚥下アセスメント(評価)が必要です。回復期や在宅においてもポジショニングは、必須のケアになります。口腔ケアでも、適切なポジショニングは、口腔内の汚染物の気道への流入や誤嚥を予防します。摂食嚥下のアセスメントでは、正確な評価を導きます。逆に、適切な姿勢がとれていない場合には、評価結果に誤差が生じる可能性があります。
間接訓練や直接訓練では、全身状態や摂食嚥下機能に合わせたリクライニング角度を設定した上で、適切なポジショニングが訓練(ケア)を効果的にすすめることができます。
ポジショニングは、チームケアが基本です。医師、看護師や介護職、リハビリ専門職が協同で考え、専門性を発揮しながら実施していきます。その中で看護職は、24時間患者の側にいる専門職です。食事に加え安楽で安全な姿勢を整えることが、看護の専門性といえます。食事時と共に、褥瘡予防のポジショニングも同様です。
患者の少しに苦痛に目や耳を傾けて、たとえ言葉がなくても姿勢の崩れや苦痛のサインに気づき、適切なケアにつなげたいものです。